2010年1月下旬(日本時間で1月16日出国〜25日帰国)、商用でフランスのパリとミルクールを訪問してきました。北半球の大寒波、ヨーロッパも記録的な寒さと雪でしたが、私達が訪問した時は寒波のピークは終わっていて順調に旅行することができました。訪問の主目的は楽器の買付けですが、今回は日程を多目に確保し、前からとても興味があったミルクールやパリの現代作家を訪問取材してきました。なお、今回旅行の取材では、現地コーディネートならびに仏語通訳でJCOM(ジーコム)の浜さんのお世話になりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
地下鉄(メトロ、Metro de Paris)のPyramides(ミラミデス)駅。
パリ訪問時に何度も利用した駅ですが、その度に感じるのは広告デザインのセンスの良さです。
同じくピラミデス駅。
La Grande halle de la Villette(グランドホール)。
ヴィレット公園内にある、パリ・グランドホールです。
グランドホールは、建築家Jules de Merindol (1815-1888)が設計した建物で、当時は食肉市場でした。1865年着工、1867年竣工。鉄骨とガラスで造形され、パリに残る19世紀建築で最も美しいものと評価されている有名なものです。食肉市場閉鎖後、1985年に改修されてイベント会場として生まれ変わりました。この建物では見本市、レセプション、コンベンション、ファッションショーなど様々な行事やイベントが行われています。
なお、ヴィレット公園の面積は約55haで、パリ最大の公園です。
同じく、グランドホール。
我が国の明治維新(厳密には大政奉還・王政復古)の年に完成した建物だと思うと感慨深いものがあります。
Basilique du Sacre-Coeur de Montmartre(サクレ・クール寺院)。
サクレ・クール(サクレール)という名の寺院はフランスならびにベルギーに複数存在するそうで、「聖なる心臓」(「聖心」)という意味とのこと。その中でも最も有名なのが、パリ・モンマルトルの丘の頂上にあるこの寺院です。ロマネスクとビザンティン建築様式が混在したバシリカ教会堂(ローマ教皇より一般教会堂より上位にあることを認められた聖堂)です。
1875年着工宣言(実際の工事開始は1877年)、1914年竣工。ただし、礼拝者に公開されたのは第一次世界大戦後の1919年だそうです。
同じく、サクレ・クール寺院。
モンマルトルの光景。
似顔絵描が大勢出ています。
同じく、モンマルトル。
なかなかの腕前でした。ただ、楽器や弓の状態があまり良くないのが気になりました。この日は完全に観光モードだったのですが、こういうところに目が行ってしまって余計な心配をしてしまうのが我ながら仕事中毒というか・・・。
モンマルトルから凱旋門方向へ向かうバスの車中。
ヨーロッパの公共交通機関共通ですが、手すりの取り付け方とか微妙なカーブにいつも感心します。しかもデザインも優れているように思います。
Arc de triomphe de l'Etoile(エトワール凱旋門)。
パリの象徴的な建物の一つです。パリの凱旋門と言えば、この建物を指しており、世界的に最も有名な観光スポットと言っても良いでしょう。(凱旋門はパリ市内にも複数あります)
この凱旋門を中心にして、12本の通り(シャンゼリゼ通りも含まれる)が放射線状に延びています。その形状が地図で見ると星の光芒に見えるので、この場所は「la
place de l'Etoile(エトワール広場=星の広場) 」と呼ばれました。ちなみに、凱旋門がある広場の現在の正式名称は「la
place de Charles de Gaulle(シャルル・ド・ゴール広場)」です。
1806年、ナポレオン・ボナパルトの命で着工。1836年に竣工しました。新古典主義建築の代表的傑作の一つとして評価されています。高さ50m、幅45m。
凱旋門の除き窓より。
ガラス(アクリル?)製の除き窓より見下ろした凱旋行進用通路。
凱旋門より見たパリ市街。
シャンゼリゼ通りです。
同じく、凱旋門より見たパリ市街。
モンマルトルの丘を遠望。
同じく、凱旋門より見たパリ市街。
シャンゼリゼ通り。
同じく、凱旋門より見たパリ市街。
シャンゼリゼ通り。
凱旋門より見たパリ市街、Tour Montparnasse(Tour Maine-Montparnasse、トゥール・モンパルナス)。
画像奥の高層ビルです。モンパルナス地区にあるオフィスビルで、高さ210m、56階建。旧モンパルナス駅跡地にあり、1969年着工、1972年竣工。竣工時はヨーロッパで一番高く、現在でもフランスで一番高いビルです。パリの景観に合わないという大論争を巻き起こしました。その結果、トゥール・モンパルナスは都市計画の失敗例と評価されてしまい、1977年、パリ都心部で新たに建設できる建築物の高さを37mに制限する法律が制定されました。2008年に市議会の決議でこの法律は廃止されました。その結果、パリ市内では、Tour
AXA(高さ159m)を225mに増築する計画、高さ約200mのピラミッド型ビル、いずれも高さ300m前後のTour
PhareやTour SignalやTour Generaliなど複数の超高層ビルの建設が計画されています。
凱旋門より見たパリ市街、La tour Eiffel(エッフェル塔)。
誰もが知るパリの象徴的建造物です。1887年着工、1889年竣工。高さ324m(建造当時は312.3m)。1889年のパリ場万国博覧会のシンボルとして建造されました。塔の名前は、設計工事を請け負ったエッフェル社に由来するものです。なお、工事では死者を一人も出さなかったそうです。建造当時は展望台でした。一方、当時としては極めて斬新な外見のため都市景観の点で大論争となりました。来訪者の減少もあり、1909年には当初の計画通り解体されようとしていましたが、電波用に用途拡張し国防戦略上の観点から維持されることになり現在に至ります。1991年、エッフェル塔とセーヌ川周辺が世界遺産に登録されました。
FOUQUET'S(フーケツ)。
サルコジ大統領が大統領に当選した時に繰り出したことでも有名な高級カフェ・レストランです。創業は1901年で、パリのカフェの中でも老舗、観光コースの人気スポットです。
中で一服しましたが、コーヒー一杯で日本円で600円ぐらい、価格もそれなりに高級でした。
FOUQUET'S(フーケツ)の外観。
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)の本社。
FOUQUET'S(フーケツ)の傍にあります。スーツケース職人だったLouis Vuitton(1821-1892)が立ち上げたブランド。1854年、トランク・スーツケース専門店としてパリで創業したのが始まりだそうです。
街角の広告。
映画「A SERIOUS MAN」、2009年アメリカ作品、監督:Joel & Ethan Coen(コーエン兄弟)の宣伝ポスター。欧米では評価が高いそうです。
同じく、街角の光景。
ルイ・ヴィトン本社の並び。
街角の光景。
大道芸をやっています。
VIRGIN MEGASTORE。
イギリスのヴァージングループが経営する大型CDショップのパリ店です。日本にも進出しましたが、2009年に全店閉鎖。日本法人ならびに店舗の一部はTSUTAYA STORESホールディングスに吸収合併されました。また、アメリカ国内でも全店閉鎖になり、現在はヨーロッパ・オーストラリアなどの一部の国で営業を続けています。
VIRGIN MEGASTOREのコミックコーナー。
大部分が日本のコミックです。
同じく、VIRGIN MEGASTOREのコミックコーナー。
フランスの若者達が日本製のコミックを熱心に立ち読みしています。
ちなみにヨーロッパ(特にフランスとロシア)ならびに南米(特にブラジル)では、若者中心に日本のサブカルチャー(アニメ・コミック、若者ファッション等々)への人気が非常に高まっていて、その種のイベントの盛況ぶりには日本に迫るものがあるそうです。イベントでは、日本アニメ・コミックの登場人物のコスチュームや、メイドカフェ風の衣装を来た若者達が大勢集まるそうです。また、パリ市内には日本アニメ・コミックの専門店がいくつかあるとのこと。日本ではオタク文化・サブカルチャーとみなしマイナー扱いする傾向が強いようですが、日本人もその価値を正当に評価し、国家戦略(例えば、韓国における映画やTVドラマのように)として支援し積極的に輸出していくべきなのかも知れません。
パリの夜景。
THEATRE DES CHAMPS ELYSEES(シャンゼリゼ劇場)。
1913年竣工、アール・ヌーヴォー様式建築の代表作の一つとされています。建築家Auguste Perret(1874-1954、オーギュスト・ペレ)が設計。ガルニエ宮(パリ・オペラ座)に代表される伝統的な劇場に対し、現代作品を上演する新しい劇場というコンセプトで運営されました。ストラヴィンスキーの「春の祭典」の初演はこの劇場で行われましたが、内容の前衛ぶりに観客が騒ぎ出し乱闘になるほどの大騒動になったのは有名なエピソードです。
現在、フランス国立管弦楽団とラムルー管弦楽団がここを本拠地とし、ウィーン・フィルもフランスでの拠点としています。
同じく、THEATRE DES CHAMPS ELYSEES(シャンゼリゼ劇場)。
同じく、THEATRE DES CHAMPS ELYSEES(シャンゼリゼ劇場)。
パリの夜景。
パリの夜景。
レンタル自転車。GPSで位置が管理されているそうです。
パリの夜景。
パリの夜景。
パリの夜景。
パリの夜景。ルーブル博物館。
パリの夜景、Arc de Triomphe du Carrousel(カルーゼル凱旋門)。
ルーブル美術館の中にあるカルーゼル庭園のあります。高さ15m。1806年着工、1808年竣工。ナポレオンが戦争勝利を記念して建てた最初の凱旋門です。有名なエトワール凱旋門よりは小さいですが、ピンク色の柱や美しい装飾が施された華麗なもの。
この凱旋門を東端として、コンコルド広場、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門を経てグランダルシュに至るほぼ一直線の東西約8は、Axe
Historique(パリの歴史軸)、Voie Triomphale(凱旋路)、Voie Royale(王の道)等と呼ばれているそうです。その名に相応しい立派な通りに沿って、歴史的建造物や記念碑が並んでいます。
街角の光景。
Cathedrale Notre-Dame de Paris(ノートルダム大聖堂)。
ゴシック建築を代表する最高傑作。1991年にセーヌ河岸周辺の建築物や遺産とともに世界遺産に登録されました。現在の建物は1163年に建造が開始され、1225年に完成。正面の塔に関しては1250まで改築作業が続き、現在の様式になりました。最終的な完成は1345年。
正面にはクリスマスツリー?が設置されたままになっていました。
Notre-Dame(ノートルダム、英語はOur Lady) は「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアを指しているそうです。なお、ノートルダムを冠した教会堂は世界各地のフランス語圏の都市に建てら、パリ市内にも複数あります。
同じく、ノートルダム大聖堂。
同じく、ノートルダム大聖堂。
同じく、ノートルダム大聖堂。
"Charlemagne et Ses Levdes"像。
ノートルダム大聖堂の前にある、シャルルマーニュ大帝(742-814、ドイツ語ではカール、ラテン語ではカルロス、英語ではチャールズ)と従者の騎馬像です。シャルルマーニュは、フランク王(在位768-814)で、後に西ローマ帝国皇帝(在位800-814、ただし東ローマ帝国は承認せず)。スラブやイスラムを討ち、現在のフランスを中心に西ヨーロッパ大陸部の大部分を支配する大王国を作りました。キリスト教を巧みにとり入れて中央集権的国家を確立、西ヨーロッパ諸国発展の基礎を確立しました。その業績は、現在のEUにもつながるものとして、西ヨーロッパでは評価されているそうです。
同じく、ノートルダム大聖堂。
以前にも何回か訪問したことはあったのですが、来る度に圧倒されてしまいます。私はカトリック教徒ではありませんが、神への祈りの思いが迫ってくるような・・・。
Musee du Louvre(ルーブル美術館)。
世界最大級かつヨーロッパ最古の美術館の一つとして非常に有名です。セーヌ河岸にある建造物群とともに世界遺産に登録されています。Palais
du Louvre(ルーブル宮殿)の大部分を占めています。建造物の起源は12世紀末頃に建設が始まった要塞です。14世紀、要塞から城館への改修が行われました。その後も拡大と改築が続けられました。ルイ14世(在位1643-1715)も拡張工事を行いましたが、同王がヴェルサイユ宮殿に移ってからは王宮としての役割が希薄になり、工事は中断されてしまいました。その後、一世紀に渡り半ば放棄され荒廃してしまいました。フランス革命期に美術館に転用することが決定し、1793年に開館しました(一般公開は1801年)。
同じく、Musee du Louvre(ルーブル美術館)。
1985年、ミッテラン大統領時代に「大ルーブル計画」と呼ばれる大改築が開始され1989年に完了。地下部分への増築が計画のメインで、ガラス外壁のピラミッド(設計:Ieoh Ming Pei、1917-、イオ・ミン・ペイ、中国系のアメリカ人建築家)を中庭に設置しメインエントランスとしました。
同じく、Musee du Louvre(ルーブル美術館)。
Arc de Triomphe du Carrousel(カルーゼル凱旋門)。
ルーブル美術館。
パリ東駅。
これからミルクールへ。このTGVに乗ってまずナンシーまで行きます。
パリ東駅(Gare de l'Est)は、パリにあるフランス国鉄(SNCF)の主要ターミナル駅の一つで、1849年開業。フランス東部や、その先のドイツ・ルクセンブルク方面への列車が発着します。
ちなみに、「東駅」というのは東へ向かう列車専用という意味で、パリの東側にあるという意味ではありません。地理的な位置はパリの北側になります。
ナンシー駅。
ここでローカル線に乗り換えてミルクールへ。
ナンシーからミルクールへ向かう列車の車中。
初めて訪れる「弦楽器・弓の聖地」を思い、胸が高鳴ります。