ストラディブログ
弦の細道
June 1, 2013

石川県-小松市・小松駅 2013.05.08

スタッフが所用で小松駅近くに行った折、列車待ちの短時間ですが周辺を散策しました。当日の北陸地方は、5月らしい爽やかな晴天でした。

「こまつの杜」(こまつのもり)。
JR小松駅から見える巨大なダンプカーが目印。小松駅の東口広場に隣接しています。以前から気になっていたのですが、今回初めて見学できました。

同じく、「こまつの杜」の様子。
建機(建設機械)・産業機械の世界的企業「コマツ」の名前を知らない人はほとんどいないでしょう。2011年5月13日に会社創立90周年を迎えた同社の記念事業の一環として、同社発祥の地・小松に建設され、同年5月12日に正式オープンした施設です。

同じく、「こまつの杜」の様子。
入口の案内板。ここには、コマツグループ社員の人材育成を主目的とした「コマツウェイ総合研修センター」、旧本社社屋を復元した「わくわく小松館」、加賀地方の里山を再現した「げんき里山」、チリの銅鉱山で実際に使用されていた世界最大級のダンプ「コマツ930E」展示場などがあります。研修センターなどを除き、一般に無料公開されています。
※開園日と開園時間に注意。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
「コマツ」の米国子会社「コマツアメリカ」で開発製造されている世界最大級のダンプトラックです。見学者の方と比べると、その巨大さがわかると思います。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
同社係員の方たちの案内で運転席を見学できます。この高さなので、見学者にはヘルメットが貸与されます。案内の方の説明は非常に丁寧でわかりやすく、勉強になりました。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
荷台(ベッセルと言うそうです)。この丸い形のものは特注品だそうで、衝撃による変形に強く、泥はけもよく、運転台上のひさしに岩が残らない設計だとか。上昇時の高さは約14m、上昇時間は21秒、下降時間は24秒とのこと。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
説明パネル。設計当初の最大総重量が930,000ポンド(現在の最大総重量は増加)で、電気駆動(ディーゼルエンジンで発電機を動かして得た電力でモータ駆動)するところから「930E」と命名されたそうです。最大積載量297t、車体重量202t、全長約15m、全高約7m、最高速度64.5/h、馬力2,700HP。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
説明パネル。ブリヂストン製のタイヤはの直径は約4m、重量4.8t。タイヤ1本で約80tもの重量を支えることが可能だそうです。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツ930E」。
パンフレット。この展示車両は、2000年に製造され、アメリカで約4年間、チリで約6年間活躍。走行距離は約120万。2010年に静態展示のため「こまつの杜」へ。現在、日本国内ではこれ1台だけだそうです。チリやオーストラリアでは930Eをベースとした、GPSと無線による無人運行システムも稼動しているそうです(この展示車両は有人走行仕様)。

同じく、「こまつの杜」の様子。対人地雷除去機「D85MS-15」。
コマツは地雷除去を通じた国際的な社会貢献活動を行なっていることでも有名です。「こまつの杜」にも対人地雷除去機「D85MS-15」が展示されています。

同じく、「こまつの杜」の様子。対人地雷除去機「D85MS-15」。
他の建機も交代で展示されているそうです。
※係の方がご不在でしたので、展示スペースの柵外より撮影。

同じく、「こまつの杜」の様子。「わくわくコマツ館」。
同館内部1Fには、建設機械や産業機械とその技術が展示され、仕組みを体験できるコーナーがあります。2Fは子供向けの科学産業啓蒙イベントなどに使用されるスペースになっています。いずれも無料公開されています。1Fの3Dシアターでは「930E」の活躍光景や、「こまつの杜」への搬入・組み立て光景なども上映されていて、良い勉強になりました。ここも見学自由で無料です。

同じく、「こまつの杜」の様子。「コマツウェイ総合研修センター」。
コマツ社員の各種研修や教育トレーニングを実施する場所だそうです。他にも全社会議やグローバル会議、社員教育のプログラム・教材の開発ならびに発信、各種建機や産業機械のテクノサービストレーニングも行なわれるとのこと。
※この建物内は一般公開されていません。

同じく、「こまつの杜」の様子。竹内明太郎氏の銅像。竹内明太郎氏(1860-1928、たけうち・めいたろう)は、コマツ(小松製作所)の創業者です。1860年に現在の高知県宿毛(すくも)市に生まれ、1921年に小松製作所を小松市に設立しました。日本の機械工業の基礎を築いた一人です。

同じく、「こまつの杜」の様子。竹内明太郎氏の銅像。
説明パネル。なお、同氏が支援協力した早稲田大学には記念ラウンジや記念会議室、胸像があるそうです。生誕の地・宿毛にも同氏の胸像などがあるとのこと。同氏は土佐出身の偉人の一人であり、小松のみならず石川県が誇る偉大な先達の一人です。

土居原ボンネット広場。
小松駅近くの土居原町(どいはらまち)、JR北陸本線の高架橋横にオープンした広場です。2013年4月29日にオープン。引退したボンネット型特急電車の先頭車両クハ489-501が保存展示されています。

同じく、土居原ボンネット広場。
489系電車の実物車輪が看板に使われています。
このデザインの特急電車は、旧国鉄全盛期のシンボルであり、かって全国で大活躍しました。489系特急電車はその一種で、旧国鉄・JR線の最急勾配だった信越本線・横川-軽井沢間(碓氷峠、うすいとうげ)を長編成で通過可能とするための特殊装備が追加されたもの。鉄道ファンならば知らない人がいない名車です。1971年に登場し、1979年まで相当数の車両が製造されました。北陸では、上野に直通する特急「白山」を中心に特急「雷鳥」などでも大活躍。

同じく、土居原ボンネット広場。
1997年9月30日、北陸新幹線・長野開業(翌10月1日)で信越本線・横川-軽井沢間が廃止され、特急「白山」も廃止。その後も489系ボンネット形電車は夜行急行「能登」などで活躍を続けました。「能登」廃止後、大部分が廃車解体。最後は、489系電車のトップナンバー・クハ489-501とクハ489-1を含む編成1本のみが臨時列車や特急「はくたか」代走用に残されました。鉄道ファンを中心に保存を望む声は小さくなかったようですが、2012年5月15日に金沢総合車両所松任本所へ走行した後に廃車となり、先頭車を除いて解体されました。このクハ489-501は北陸本線のすぐ傍で保存されることになりました。なお、もう1台のクハ489-1はJR日本で保存されているそうです(他にもJR西日本がクハ489-503を将来の展示用に保管しているようです)。

「こまつまちなかマップ・土居原町」。
JR小松駅付近のマップです。

同じく、「こまつまちなかマップ・土居原町」。
小松駅周辺には見所が結構あります。

「石川県こまつ芸術劇場うらら」。
5月5日まで行なわれていた「第15回全国子供歌舞伎フェスティバルin小松」の看板がありました。

同じく、「石川県こまつ芸術劇場うらら」。
「第15回全国子供歌舞伎フェスティバルin小松」の看板。小松市にあった「安宅関」は有名な勧進帳の舞台となったところです。このフェスティバルは、江戸時代から残る伝統芸能「曳山子供歌舞伎」を継承し、"歌舞伎のまち・小松"の魅力を全国に発信する目的で、1999年から毎年開催されているもの。

JR小松駅前。連休明けの平日昼間ということもあり、この日の駅前は閑散としていました。夕方になれば大勢の通勤通学客で賑やかになります。近年、小松駅周辺にはマンションや新築住宅も増え、金沢のベットタウンとしての重要性もさらに大きくなっているようです。

JR小松駅、西口。小松駅も含めこの付近の北陸本線は高架化されています。小松駅は高架駅に生まれ変わり、駅前広場も整備され、近代的な姿になりました。北陸新幹線・小松駅も計画されています。

同じく、JR小松駅西口。
小松市のイメージキャラクター「カブッキー」。「いよっ小松 勧進帳のふるさと」のロゴがあります。このキャラクターの好きな言葉が「難関突破!」だそうです。

同じく、JR小松駅西口。「弁慶・富樫像」と「智仁勇、石碑」。同じ銅像と石碑は「安宅関」跡にもあります。この像は歌舞伎の1シーンの七代目松本幸四郎(1870-1949)と二代目市川左団次(1880-1940)をモデルで、金沢市生まれの塑像家の都賀田勇馬氏(1891-1981、つがた・ゆうま)が1966年に制作したもの。1995年に、子息の都賀田伯馬氏(1936-、つがた・はくま)が義経像を作成し、親子二代に亘り勧進帳の主役三体の像を完成させました(義経像は「安宅関」跡のみに増設)。「智仁勇」は石川県出身の政治家・永井柳太郎氏(1881-1944、ながい・りゅうたろう)自筆によるもの。智は弁慶の知恵、仁は富樫の情け、勇は義経の勇気を意味するそうです。

JR小松駅、東口。
小松のあらましを説明したパネル。英語版も併設されています。多くの国内線・国際線が発着する小松空港が近く(小松駅からは連絡バスで約10分)にあり、周辺に多くの有名温泉地や観光地があり、「コマツ」をはじめ多くの有力企業が存在します。そのためでしょうか、海外からの訪問客も多いようです。

小松基地(小松空港)から離陸していく航空自衛隊のF15。
小松は、日本防衛の最重要拠点の一つです。
※小松駅より上空を撮影(画像は拡大加工)。

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