備考
Wirfried Leonhardt(ヴィルフリート・レオンハルト)
ドイツの名工、ヴィルフリート・レオンハルトは、伝統的なクレモナの製作思想を基盤としつつ、ドイツ的な精度の高い作業と緻密な音響設計で知られる製作家です。本作はその特徴がよく表れた、安定した鳴りと深い響きを兼ね備えた一本となっています。
外観は、木材選択の良さが際立つ柔らかな光沢を持ち、過度な装飾性に頼らずとも自然な風格を感じさせる仕上がりです。表板・裏板ともに密度と張りのある響材が用いられており、倍音の豊かさと発音の明晰さが両立しています。
音色は、低弦の深い沈み込みと、上声部にかけての透明感ある伸びが魅力です。特に中域においてはやわらかな厚みがあり、器を抱えた際の共鳴の一体感が強く、室内楽から独奏まで幅広い場面で高い表現力を発揮します。反応は素直で、弓のニュアンスを過不足なく受け止めるため、奏者の意図を直接的に音へと反映させやすいモデルです。