備考
FRANCOIS FENT
スイスのSchwaz(チロル地方の小都市)生まれ。正確な生没年は不明ですが、18世紀後半にパリで活動していたことは確かなようです。ロンドンで成功した製作者Bernhard Fendtの叔父であり師匠であると言われています。インスブルックで活動していましたが、最終的にパリに拠点を移し、そこで1760年(1765年とする説もあり)から1791年頃まで働きました。ちなみに彼の姓"Fent"は、本来の"Fendt"からフランス風に"d"が省略されたものだそうです。Francois Fentは大いに才能を発揮し、当時のフランス在住製作者の誰よりも見事にStradivariusモデルを作りだしたのですが、彼の才能は軽視されがちで、彼に相応しいキャリアから外れて独自の道を歩んだようです。
彼自身が手かげた楽器で残存するものの大部分は腐食が進んでしまっているようですが、18世紀後半~19世紀前半のパリの優れた製作者(たとえばNicolas Lupot(1758-1824)、弓製作者として有名なFrancois LupotⅡの兄。Nicolas Lupotの作品は当時"The French Stradivarius"と呼ばれた)の一人として、現在は高く評価されています。